亜連盟は満州建国に端を発したのであり当時、在満日本人には一挙に天皇の下に東亜連邦の成立を希望するものも多かったが、漢民族は未だ時機熟せずとして、日満華の協議、協同による東亜連盟で満足すべしと主張し、遂に東亜新秩序の第一段階として採用されるに至った。
 東亜の新秩序は、最終戦争に於て必勝を期するため、なるべく強度の統一が希望される。東亜諸民族の疑心暗鬼が除去されたならば、一日も速やかに少なくも東亜連邦に躍進して、東亜の総合的威力の増進を計らねばならぬ。更に各民族間の信頼が徹底したならば、東亜の最大能力を発揮するために諸国家は、みずから進んで国境を撤廃し、その完全な合同を熱望し、東亜大同国家の成立即ち大日本の東亜大拡大が実現せられることは疑いない。特に日本人が「よもの海みなはらから」「西ひがしむつみかわして栄ゆかん」との大御心のままに諸民族に対するならば、東亜連邦などを経由することなく、一挙に東亜大同国家の成立に飛躍するのではなかろうか。
 われらは、天皇を信仰し心から皇運を扶翼《ふよく》し奉るものは皆われらの同胞であり、全く平等で天皇に仕え奉るべきものと信ずる。東亜連盟の初期に於て、諸国
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