如く、これも根本的に刷新することが不可能である。
西洋文明は既に覇道に徹底して、みずから行き詰まりつつある。王道文明は東亜諸民族の自覚復興と西洋科学文明の摂取活用により、日本国体を中心として勃興しつつある。人類が心から現人神《あらひとがみ》の信仰に悟入したところに、王道文明は初めてその真価を発揮する。
最終戦争即ち王道・覇道の決勝戦は結局、天皇を信仰するものと然らざるものの決勝戦であり、具体的には天皇が世界の天皇とならせられるか、西洋の大統領が世界の指導者となるかを決定するところの、人類歴史の中で空前絶後の大事件である。
第五問 最終戦争が数十年後に起るとすれば、その原因は経済の争いで、観念的な王道・覇道の決勝戦とは思われない。
答 戦争の原因は、その時代の人類の最も深い関心を有するものに存する。昔は単純な人種間の戦争や、宗教戦争などが行なわれ、封建時代には土地の争奪が戦争の最大動機であった。土地の争奪は経済問題が最も大きな働きをなしている。近代の進歩した経済は、社会の関心を経済上の利害に集中させた結果、戦争の動機は経済以外に考えられない現状である。
自由主義時代は経済が政治
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