想であるだろうと思います。フランスの屈伏後に於けるドイツの態度から見ても、このことは間違いないと信ぜられます。第一次欧州戦争が終りましてから、オーストリアのクーデンホーフが汎ヨーロッパということを唱導しまして、フランスのブリアン、ドイツのストレーゼマンという政治家も、その実現に熱意を見せたのでありますが、とうとうそこまで行かないでウヤムヤになったのです。今度の大破局に当ってヨーロッパの連合体を作るということが、再びヨーロッパ人の真剣な気持になりつつあるものと思われます。
最後に東亜であります。目下、日本と支那は東洋では未だかつてなかった大戦争を継続しております。しかしこの戦争も結局は日支両国が本当に提携するための悩みなのです。日本はおぼろ気ながら近衛声明以来それを認識しております。近衛声明以来ではありません。開戦当初から聖戦と唱えられたのがそれであります。如何なる犠牲を払っても、われわれは代償を求めるのではない、本当に日支の新しい提携の方針を確立すればそれでよろしいということは、今や日本の信念になりつつあります。明治維新後、民族国家を完成しようとして、他民族を軽視する傾向を強めたこと
前へ
次へ
全319ページ中34ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
石原 莞爾 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング