教の坊さんが引受けて、彼らが威力を失いますと、次には新しい国家が発生してまいりました。国家主義がだんだん発展して来て、フランス革命のときは一時、世界主義が唱導されました。ゲーテやナポレオンは本当に世界主義を理想としたのでありますが、結局それは目的を達しないで、国家主義の全盛時代になって第一次欧州戦争を迎えました。
 欧州戦争の深刻な破壊の体験によって、再び世界主義である国際連盟の実験が行なわれることとなりました。けれども急に理想までは達しかねて、国際連盟は空文になったのです。しかし世界は欧州戦争前の国家主義全盛の時代までは逆転しないで、国家連合の時代になったと私どもは言っているのであります。大体、世界は四つになるようであります。
 第一はソビエト連邦。これは社会主義国家の連合体であります。マルクス主義に対する世界の魅力は失われましたが、二十年来の経験に基づき、特に第二次欧州戦争に乗じ、独特の活躍をなしつつあるソ連の実力は絶対に軽視できません。第二は米州であります。合衆国を中心とし、南北アメリカを一体にしようとしつつあります。中南米の民族的関係もあり、合衆国よりもむしろヨーロッパ方面と経
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