であるか。海相は数は恐るるに足らぬ。独自の兵備によってこれに対抗し、断じて心配ないと言うているし、また一部南進論者は三年後には米国の製艦により彼我海軍力に大きな差を生ずるから今のうちに開戦すべしと論じている。しかし更に根本的の問題は、我らは万難を排してソ連の極東軍備およびアメリカの海軍拡張に対抗せねばならないことになる。ソ連が極東に三十師団を持って来れば我が軍も北満に三十師団を位置せしむべく、ソ連戦車三千台なら我も三千台、また米国が六万屯の戦艦を造るなら我もまたこれと同等の建艦を断行すべきである。
 そんな事は無理だと言うであろう。その通り我が国の製鉄能力は今日ソ連の数分の一、米国に比しては更に著しく劣っているのは明らかである。しかし造るべきものは造らねばならぬ。断々乎として造らねばならぬ。この一歩をも譲ることを得ざる国防上の要求が我が経済建設の指標であり昭和維新の原動力である。この気力無き国民は須からく八紘一宇を口にすべからず。
 三年後には日米海軍の差が甚だしくなるから、今のうちに米国をやっつけると言う者があるが、米国は充分な力がないのにおめおめ我が海軍と決戦を交うると考うるのか。
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