う形を取るかを想像して見ます。戦争には老若男女全部、参加する。老若男女だけではない。山川草木全部、戦争の渦中に入るのです。しかし女や子供まで全部が満州国やシベリヤ、または南洋に行って戦争をやるのではありません。戦争には二つのことが大事です。
一つは敵を撃つこと――損害を与えること。もう一つは損害に対して我慢することです。即ち敵に最大の損害を与え、自分の損害に堪え忍ぶことであります。この見地からすると、次の決戦戦争では敵を撃つものは少数の優れた軍隊でありますが、我慢しなければならないものは全国民となるのです。今日の欧州大戦でも空軍による決戦戦争の自信力がありませんから、無防禦の都市は爆撃しない。軍事施設を爆撃したとか言っておりますけれども、いよいよ真の決戦戦争の場合には、忠君愛国の精神で死を決心している軍隊などは有利な目標でありません。最も弱い人々、最も大事な国家の施設が攻撃目標となります。工業都市や政治の中心を徹底的にやるのです。でありますから老若男女、山川草木、豚も鶏も同じにやられるのです。かくて空軍による真に徹底した殲滅戦争となります。国民はこの惨状に堪え得る鉄石の意志を鍛錬しな
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