人、なかんずく仏人は自己が親しく目撃する変化をほとんど意識せず、また諸種の例証に徴して新形式を組織的に完成する事にあまり意を用いざりし事実を窺い得る」とデルブリュック教授は論じている。
 革命、革新の実体は多くかくの如きものであろう。具体案の持ち合わせもないくせに「革新」「革新」と観念的論議のみを事とする日本の革新論者は冷静にかかる事を考うべきであろう。
 4、給養法の変化
 国民軍隊となったことは、地方物資利用に依り給養を簡単ならしむる事になり、軍の行動に非常な自由を得たのである。殊に将校の平民化が将校行李の数を減じ、兵のためにも天幕の携行を廃したので一八〇六年戦争に於て仏・普両軍歩兵行李の比は一対八乃至一対十であった。
 5、戦略の大変化
 仏国革命に依って生まれた国民的軍隊、縦隊戦術、徴発給養の三素材より、新しき戦略を創造するためには大天才の頭脳が必要であった。これに選ばれたのがナポレオンである。
 国民軍隊となった一七九四年以後も消耗戦略の旧態は改める事がなかった。一七九四年仏軍は敵をライン河に圧して両軍ライン河畔で相対峙し、僅か二三十万の軍がアルサス[#「アルサス」はママ]か
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