、ナポレオン、乃至ヒットラー無くば政戦略の統一に困難を来たすのであるが、我が大日本に於ては国体の霊力に依り何時でもその完全統一を見るところに最もよく我が国体の力を知り得るのである。戦争指導のためにも我が国体は真に万邦無比の存在である。
第三節 持久戦争となる原因
持久戦争は両交戦国の戦争力ほとんど相平均しているところから生ずるものであり、その戦力甚だしく懸隔ある両国の間には勿論容易に決戦戦争となるのは当然である。今ほとんど相平均している国家間に持久戦争の行なわるる場合を考えれば次のようなものである。
1、軍隊の価値低きこと
後に詳述する事とするがルネッサンスに依り招来せられた傭兵は全く職業軍人である。生命を的とする職業は少々無理あるがために如何に精錬な軍隊であっても、徹底的にその武力の運用が出来かねた事が仏国革命まで、持久戦争となっていた根本原因である。フランス革命の軍事的意義は職業軍人から国民軍隊に帰った事である。実に近代人はその愛国の誠意のみが真に生命を犠牲に為し得るのである。
「十八世紀までの戦争は国王の戦争であり国民戦争でなかったから真面目な戦争とならなかった
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