もこれを肯定しないらしいが、私の直感、私の信仰からは、これが仏の思召にかなっていると信ずるに至ったのである。そして同時に世界の統一は仏滅後二千五百年までに完成するものとの推論に達した。そうすると軍事上の判断と甚だ近い結論となるのである。
昭和十四年三月十日、病気治療のため上京していた私は、協和会東京事務所で若干の人々の集まりの席上で戦争論をやり、右の見解からする最終戦争の年代につき私の見解を述べた。この講演の要領が人々によって印刷され、誰かが「世界戦争観」と命名している。
昭和十五年五月二十九日の京都義方会に於ける講演筆記(第二次欧州大戦の急進展により同年八月印刷に付する際その部分を少し追補した)の出版されたのが、立命館版『世界最終戦論』である。要するにこれは私の三十年ばかりの軍人生活の中に考え続けて来たことの結論と言うべきである。空想は長かったが、前に述べた如く真に私が学問的に戦史を研究したのは、主としてフリードリヒ大王とナポレオンだけであり、しかもその期間も大正十五年夏から昭和三年二月までの約一年半に過ぎないのである。研究は大急ぎで素材を整理したくらいのところで、まだまだ消化し
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