、それに続いてルネッサンスからフランス革命までは、まあ三百年乃至四百年。これも見方によって色々の説もありましょうが、大体こういう見当になります。フランス革命から第一次欧州戦争までは明確に百二十五年であります。千年、三百年、百二十五年から推して、第一次欧州戦争の初めから次の最終戦争の時期までどのくらいと考えるべきであるか。千年、三百年、百二十五年の割合から言うと今度はどのくらいの見当だろうか。多くの人に聞いて見ると大体の結論は五十年内外だろうということになったのであります。これは余り短いから、なるべく長くしたい気分になり、最初は七十年とか言いましたけれども結局、極く長く見て五十年内だろうと判断せざるを得なくなったのであります。
 ところが第一次欧州戦争勃発の一九一四年から二十数年経過しております。今日から二十数年、まあ三十年内外で次の決戦戦争、即ち最終戦争の時期に入るだろう、ということになります。余りに短いようでありますが、考えてご覧なさい。飛行機が発明されて三十何年、本当の飛行機らしくなってから二十年内外、しかも飛躍的進歩は、ここ数年であります。文明の急激な進歩は全く未曽有の勢いであり、今日までの常識で将来を推しはかるべきでないことを深く考えなければなりません。
 今年はアメリカの旅客機が亜成層圏を飛ぶというのであります。成層圏の征服も間もなく実現することと信じます。科学の進歩から、どんな恐ろしい新兵器が出ないとも言えません。この見地から、この三十年は最大の緊張をもって挙国一致、いな東亜数億の人々が一団となって最大の能力を発揮しなければなりません。
 この最終戦争の期間はどのくらい続くだろうか。これはまた更に空想が大きくなるのでありますが、例えば東亜と米州とで決戦をやると仮定すれば、始まったら極めて短期間で片付きます。しかし準決勝で両集団が残ったのでありますが、他にまだ沢山の相当な国々があるのですから、本当に余震が鎮静して戦争がなくなり人類の前史が終るまで、即ち最終戦争の時代は二十年見当であろう。言い換えれば今から三十年内外で人類の最後の決勝戦の時期に入り、五十年以内に世界が一つになるだろう。こういうふうに私は算盤を弾いた次第であります。

   第四章 昭和維新

 フランス革命は持久戦争から決戦戦争、横隊戦術から散兵戦術に変る大きな変革でありました。日本では、ち
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