出るが悪いといって、そんなことをするだかい。」と、伯母も訊いた。
「まあそうなんでしょうね。婆さんはまた私がそうしないと機嫌が悪いんですの。あの人の腹では、芳太郎が可愛くないことはないんでしょうけれど、どうしたって血を分けた子じゃないんですから、いろいろお爺さんに言われると、その気になるんでしょうよ。やっぱり欲なんですね。」
「その塩梅《あんばい》じゃ、子息《むすこ》が柔順《おとな》しくしていたって、いつ身上《しんしょう》を渡すか解らないと言ったようなものせえ。」母親は望みがなさそうに言った。
「それでいて、私にはいろいろうまいことを言って聴かすんですの。」と、お庄は長く客商売をして来たお袋の自分に対する心持を話した。
「お前のような娘が一人あれば、こんな吝《しみ》ったれな料理屋なんかしていやしないなんて、そんなことを言うんですよ。」
「ああいう人は、女さえ見れアじき金にしようと、そんなことばかり思っているで。」と、伯母は冷笑《あざわら》った。
 母親と伯母のあいだには、また門閥の話が出た。田舎にいる父親が、まだ得心していなかったので、籍を送らずにおいたことが、かえって幸いであったよう
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