《みんな》遊びに出かけようとしているところへ行き合わせた時も、外へ出てから雨のなかで喧嘩を始めて、傘で腕を撲《ぶ》たれたりした。女を引っ張り込んでいるところへ踏み込んで行ったこともあった。
お庄は押入れから夜具を卸していながら、ぴしゃんと閉《た》てつけた戸と柱の間へ挟んだ指をなめながら、「お痛《い》た。」と大げさな声を立てて突っ立っていた。母親が戸締りをしてからそこへ寄って来た。
「外で気に喰わないことがあって、家でそうぷりぷりするものじゃないよ。手がどうかなたかえ。舐めてやろうかい。」と笑った。
「阿母さんに舐めてもらったってしようがないわ。」と、お庄は呟《つぶや》きながら、やっぱり突っ立っていた。胸がむしゃむしゃして、そのまま床に就く気もしなかった。
臥《ね》てからも、お庄は始終外を通る人の跫音《あしおと》に気をいらいらさせた。
翌朝床を離れて手洗《ちょうず》をすますと、お庄は急いで、お増の宿まで行って見たが、切り戸はまだ締っていた。隙間から覗くと、靴脱《くつぬ》ぎの上にあった下駄も取り込んだらしく、板戸もぴったり締って、日当りの悪い庭の、立枯れの鉢植えの菊などが目についた。
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