も肩で息をしていた。気が重いのか、口の利き方も鈍かった。差し向いになると黙ってうつむいてしまうのであるが、折々|媚《こ》びるような素振りをして、そっと男の顔を見上げていた。新吉は外方《そっぽう》を向いて、壁にかかった東郷大将の石版摺《せきばんず》りの硝子張《ガラスば》りの額など見ていた。床の鏡餅に、大きな串柿《くしがき》が載せてあって、花瓶《かびん》に梅が挿《さ》してあった。
「今日はお泊りなすってもいいんでしょう。」お作は何かのついでに言い出した。
「イヤ、そうは行かねえ。日一杯に帰るつもりで来たんだから。」新吉は素気《そっけ》もない言い方をする。
 しばらく経ってから、「このごろ、小野さんのお内儀《かみ》さんが来ているんですって……。」
「ア、お国か、来ている。」と新吉はどういうものか大きく出た。
 お作はうつむいて灰を弄《いじ》っていた。またしばらく経ってから、「あの方、ずっといるつもりなんですか。」
「サア、どういう気だか……彼女《あれ》も何だか変な女だ。」新吉は投げ出すように言った。

     二十五

「でも、ずるずるべったりにいられでもしたら困るでしょう。」お作は気の毒
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