違いでしょうか。間違いなら嫌疑《けんぎ》とか何とかそう言って連れて行きそうなもんじゃありませんかね。」とお国は馴《な》れ馴れしげに火鉢に頬杖《ほおづえ》をついた。
「解んねえな。」と新吉も溜息を吐《つ》いた。「だが、今日は帰って来ますよ。心配することはねえ。」
「でも、あの人の田舎の裁判所から、こっちへ言って来たんだそうですよ。刑事がそう言っていましたもの。」とお国は一層深く傷口に触《さわ》るような調子で、附け加えた。
「だから、私何だか変だと思うの。田舎で何か悪いことをしてるんじゃないかと思って。」と猜疑深《うたぐりぶか》い目を見据えた。
「田舎のことア私《あっし》にゃ解んねえが、マアどっちにしても、今日は何とか様子が解るだろう。」
 新吉の頭脳《あたま》には、小野がこのごろの生活《くらし》の贅沢《ぜいたく》なことがじきに浮んで来た。きっと危《あぶな》いことをしていたに違いないということも頷かれた。「だから言わねえこッちゃない。」と独りでそう思った。
 お国は十二時ごろまで話し込んでいた。話のうちに新吉は二度も三度も店へ起《た》った。お国は新吉の知らない、小野の生活向《くらしむ》きの
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