も、田舎でお百姓をしたり、養蚕したりしていたんですもの。」
「僕の家じゃ、畑仕事はしてもらう必要はないけれど、養蚕や機織《はた》くらいは覚えておいてもいいね。」
 飯を喰《た》べながら、そんな話をしているうちに、銀子は気分が釈《ほぐ》れ、それほど悲観したことでもないと、希望を取り返すのだった。
 夜になって、銀子は風呂《ふろ》に入り、土地の習慣なりに、家へ着替えに行くと、主人夫婦もちょうど奥で晩酌《ばんしゃく》を始めたところで、顔を直している銀子に声をかけた。
「寿々ちゃん、あんた今日倉持さんのお母《っか》さんに逢《あ》っただろう。」
「逢ったわ。」
「お母さん帰りに、見番へ寄って行ったそうだよ。」
「そう。」
「貴女《あなた》のことをね、顔にぺたぺた白粉《おしろい》も塗らず、身装《なり》も堅気のようで、あんな物堅い芸者もあるのかと、飛んだところで、お讃《ほ》めにあずかったそうよ。」
 冷やかし半分にお神は言うのだった。

      十四

 何かといっているうちに、その年も暮れてしまい、銀子は娘盛りの十九の春を迎えたわけだったが、一年の契約が切れただけでも、いくらか気が楽になり、二
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