いたが、弁護士にも少し鼻を高くしているのだった。
猪野は洋食に酒を取り、三人でちびちびやりながら、訴訟の話をしていたが、銀子には何のことか解《わか》らず、退屈して来たので、食べるものを食べてしまうと、
「私あっち行っててもいいでしょう。」
とお神にそっとささやき、食堂を出て独りになった。何を考えるということもなかったが、独りでいたかった。
福島あたりへ来ると、寒さがみりみり総身に迫り、窓硝子《まどガラス》に白く水蒸気が凍っていた。野山は一面に白く、村も町も深い静寂の底に眠り、訛《なまり》をおびた駅夫の呼び声も、遠く来たことを感じさせ、銀子はそぞろに心細くなり、自身をいじらしく思った。下駄《げた》をぬいで、クションの上に坐り、肱掛《ひじか》けに突っ伏しているうちに、疲れが出てうとうとと眠った。
三人が座席へ帰って来たのは、もう二時ごろで、銀子もうつらうつら気がついたが、ちょっと身じろぎをしただけでまた眠った。
仙台へついたのは、朝の六時ごろで、銀子も雪景色が珍しいので、夜のしらしら明けから目がさめ、洗面場へ出て口を掃除したり、顔を洗ったりした。少しは頭脳《あたま》がはっきりし、
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