「そうじゃないの。」
 銀子は打ち明けて相談したら、何とか好い解決の方法があるかも知れず、独りで苦しんでいるより、その方が腫物《はれもの》を切開して膿《うみ》を出したようで、さっぱりするかも知れないと、そう思わないこともなかったが、それを口へ出すのは辛《つら》かった。死んでも言うものかと、そんな反抗的な気持すら起こるのだった。人に謝罪《あやま》ったり、哀れみを乞《こ》うたりすることも、彼女の性格としては、とても我慢のならないことであった。痩《や》せ我慢とは思いつつも、彼女には上州ものの血が流れていた。不断は素直な彼女であったが、何か険しいものが潜んでいた。
 栗栖も追窮しはしなかった。

      十二

 四月になってから、栗栖は郷里へ帰省し、妹が一人いると言うので、銀子は花模様の七珍《しっちん》の表のついた草履《ぞうり》を荷物の中に入れてやったが、駅まで送って、一緒に乗ってしまえば、否応《いやおう》なしに行けるのにと思ったりした。
 しかし自分の取るべき方嚮《ほうこう》について、親たちに相談しようというはっきりした考えもなかったし、話してみてもお前の好いようにと言うに決まってい
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