たら、多少挑戦的にも看《み》らるる清川の言葉に躊躇《ちゅうちょ》なく応酬したに違いないのであった。すると清川はあるいは進んで、破綻《はたん》百出のこの不自然な恋愛の不合理を説き、庸三自身のためにも、葉子のためにも、彼女を解放することを力説したかもしれず、事によるとあるいはすでに納得ずくの師匠もそれに助勢して、清川と葉子との恋愛を彼女の口から代弁告白することに、プログラムがちゃんと出来あがっていなかったとも限らないのであった。その場合、師匠が一歩先きに、自ら二人の恋愛を承認していなければならないのは、もちろんであった。
 しかし庸三は、その晩の彼らの真意を、そこまで深く探究する余裕はなかった。彼はただ嵐《あらし》の前の木の葉の戦《そよ》ぎを感じ、重苦しいその場の雰囲気のなかに、徒《いたず》らに清川と葉子との気持を模索するにすぎないのだった。
 やがて四人打ち揃《そろ》って外へ出てみたのであったが、葉子は部屋にいたときと同じく、始終物思わしげに、俛《うつむ》きがちに歩いており、清川の靴の音だけが、すでに春の装いもできた晦日《みそか》ぢかくの静かな町に、ぽかぽかと響くのであった。
 間もなく
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