あった。瑠美子のために、庸三が邪魔になることもしばしばであった。ある時などは、婦人文芸雑誌の編輯《へんしゅう》をしているF――氏の前で、はしなく二人の雰囲気《ふんいき》が険しくなり、庸三は帰って行くF――氏と一緒に玄関を降りぎわに烈しい言葉で彼女を罵《ののし》ったのだったが、そうして別れた後で、彼はやはり独りで苦しまなければならなかった。
その時も庸三の気持は、ちょっと葉子から遠くなっていた。彼は家政婦に出てもいいと言っているとかいう、小夜子の友達の一人の女の写真などを見ていた。家政婦といっても、双方よければ、それ以上に進んでもかまわないという意味も含まれているらしかった。
「写真より綺麗《きれい》ですよ。私の姉の田舎《いなか》で家柄もいいんです。いい家《うち》へ片づいていたんですけれど、御主人が商売に失敗して、家が離散してしまったんですの。」
小夜子は言っていたが、その女はしかし庸三の好みの型ではなかった。
そこへ葉子から電話がかかったのだったが、庸三は急いで帰る気もしなかった。
「先生があまり葉子さんに甘いからいけないのよ。うっちゃっときなさいよ。」
側にいた小夜子の別の友
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