の顔を眺めていた。
「どうせ長持のしない身上《しんしょう》だもの。今のうち好きなことをしておいた方が、此方《こっち》の得さ。あの人だって、私に隠して勝手な真似《まね》をしているんじゃないか」
 お島はその日も、外へ出ていった鶴さんの行先《ゆきさき》を、てっきり植源のおゆうの許《とこ》と目星をつけて、やって来たのであった。そして気味を悪がって姉の止めるのも肯《き》かずに、出ていった。
 おどおどして入っていった植源の家の、丁度お八つ時分の茶《ちゃ》の室《ま》では、隠居や子息《むすこ》と一緒に、鶴さんもお茶を飲みながら話込んでいたが、お島が手土産の菓子の折を、裏の方に濯《すす》ぎものをしているおゆうに示《み》せて、そこで暫《しばら》く立話をしている間《ま》に、鶴さんも例の折鞄を持って、そこを立とうとしておゆうに声をかけに来た。
「まあ可《い》いじゃありませんか。お島さんの顔を見て直《じ》き立たなくたって。御一緒にお帰んなさいよ」
 おゆうは愛相よく取做《とりな》した。
「自分に弱味があるからでしょう」お島は涙ぐんだ面《おもて》を背向《そむ》けた。
 夫婦はそこで、二言三言言争った。
「私《
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