を勧誘するのも君の自由だがね」
事務員はそう云って、彼女の出入《しゅつにゅう》に黙諾を与えてくれたりした。
広い運動場に集っている生徒のなかへ、お島の洋服姿が現れて行った。
時には一つの学校から、他の学校へ彼女は腕車《くるま》を飛しなどして、せり込んで行く多くの同業者と劇《はげ》しい競争を試みることに、深い興味を感じた。
小野田や職人たちが、まだぐっすり眠っているうちに、お島は床を離れて、化粧《おつくり》をするために大きい姿見の前に立った。そして手ばしこくコルセットをはめたり、漸《ようや》く着なれたペチコオトを着けたりした。洋服がすっかり体に喰《く》っついて、ぽちゃぽちゃした肉を締つけられるようなのが、心持よかった。そして小《ちいさ》いしなやかな足に、踵《かかと》の高い靴をはくと、自然《ひとりで》に軽く手足に弾力が出て来て、前へはずむようであった。ぞべらぞべらした日本服や、ぎごちない丸髷姿では、とても入って行けない場所へ、彼女の心は、何の羞恥《しゅうち》も億劫《おっくう》さも感ずることなしに、自由に飛込んで行くことができた。
朝おきると、懈《だる》い彼女の体が、直《じき》にそ
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