附近に散かっている二三箇所の持地を、小野田と一緒に見廻りながら、五百坪ばかりの細長い地所へ小野田を連れて行って言った。
雑木の生茂《おいしげ》っているその地所には、庭へ持出せるような木も可也にあった。暗い竹藪《たけやぶ》や荒れた畑地もあった。周囲《まわり》には新しい家《いえ》が二三軒建っていた。
「ふむ」小野田は驚異の目を※[#「※」は「目+爭」、第3水準1−88−85、163−9]《みは》って、その木立のなかへ入って行った。夏草の生茂った木立の奥は、地面がじめじめしていて、日の光のとどかぬような所もあった。
「この辺の地所は坪どのくらいのものだろう」
小野田はそこを出てお島の傍へ来ると、打算的の目を耀《かがや》かして訊《たず》ねた。
「どの位だかね。今じゃ十円もするでしょうよ」
お島は※[#「※」は「りっしんべん+兄」、第3水準1−84−45、163−14]《とぼ》けたような顔で応《こた》えたが、この地面が自分の有《もの》になろうとは思えなかった。
生家《さと》では二三年のあいだ家を離れて、其方《そっち》こっち放浪して歩いていた兄が、情婦《おんな》に死訣《しにわか》れて、最近
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