して、資本の運転が止ったところで、去年よりも一層不安な年の暮が、直《すぐ》にまた二人を見舞って来た。
荒いコートに派手な頸捲《えりまき》をして、毎日のように朝|夙《はや》くから出歩いているお島が、掛先から空手《からて》でぼんやりして帰って来るような日が、幾日《いくか》も続いた。
仕事の途絶えがちな――偶《たま》に有っても賃銀のきちんきちんと貰えないような仕事に働くことに倦《う》んで来た若い職人は、好い口を捜すために、一日店をあけていた。
病気のために、中途戦争から帰って来たその職人は、軍隊では上官に可愛がられて上等兵に取立てられていたが、久振で内地へ帰ってくると、職人|気質《かたぎ》の初めのような真面目《まじめ》さがなくなって、持って来た幾許《いくら》かの金で、茶屋酒を飲んだり、女に耽《ふけ》ったりして、金に詰って来たために、もと居た店の物をこかしたり、友達の着物を持逃したりして居所《いどころ》がなくなったところから、小野田の店へ流れて来たのであったが、その時にはもうすっかりさめてしまって、旧《もと》の小心な臆病ものの自分になり切っていた。
来た当座、針を動かしている彼は時々巡
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