ち》が好き?」お島は言ってみたが、子供には何の感じもないらしかった。
 お島はベンチに腰かけて、慵《だる》い時のたつのを待っていた。庭の運動場の周《まわり》に植《うわ》った桜の葉が、もう大半|黄《きば》み枯れて、秋らしい雲が遠くの空に動いていた。お島は時々|炉端《ろばた》で差向いになることのある、浜屋の若い主人のことなどを思っていた。T――市から来ていた、その主人の嫁が、肺病のために長いあいだ生家《さと》へ帰されていた。

     五十一

 お島が楽《たのし》みにして世話をしていた植木畠や花圃《はなばた》の床に、霜が段々|滋《しげ》くなって、吹曝《ふきさら》しの一軒家の軒や羽目板に、或時は寒い山颪《やまおろし》が、凄《すさま》じく木葉を吹きつける冬が町を見舞う頃になると、商売の方がすっかり閑《ひま》になって来た壮太郎は、また市《まち》の方へ出て行って、遊人仲間の群へ入って、勝負事に頭を浸している日が多かった。
 持って行った植木の或者は、土が適《ふさ》わぬところから、お島が如何《いか》に丹精しても、買手のつかぬうちに、立枯になるようなものが多かったが、草花の方も美事に見込がはずれて
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