のはまった、明い事務室で、椅子に腰かけて、青い巾《きれ》の張られた大きな卓子《テーブル》に倚《よっ》かかって、眼鏡をかけて、その日の新聞の相場づけに眼を通していたが、壮太郎の方へ笑顔を向けると、お島にも丁寧にお辞儀をした。柱の状挿《じょうさし》には、主《おも》に東京から入って来る手紙や電報が、夥《おびだた》しく挿《はさ》まれてあった。米屋町の旦那のような風をしたその主人を、お島は不思議そうに眺めていた。
「ここの庭さ、己《おれ》が手を入れたというのは……」壮太郎は飛石伝いに、築山《つきやま》がかりの庭へ出てゆくと、お島に話しかけたが、そこから上へ登ってゆくと、小さい公園ほどの広々した土地が、目の前に展《ひら》けた。
「へえ、こんな暮しをしている人があるんですかね」
 お島はそこから、築山のかかりや、家建《やだち》の工合を見下しながら呟いた。
「ここへみっしり木を入れて、この町の公園にしようてえのが、あの人の企劃《もくろみ》なんだがね。金のかかる仕事だから、少し景気が直ってからでないと……」
 兄はそう言って、子供のためのグラウンドのような場所の周《まわり》にある、木陰のベンチに腰をおろ
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