つて」に傍点]ヘゲモニイを握るやうな具合に結合されてゐるのであるとした。これは芸術文学が政治闘争の用具となる必要はなく、さうでない文学芸術もあるといふ事実と、マルクス主義はプロレタリアの勝利のために文化の凡ての部分を階級的に武装しなければならぬといふ要請とが、マルクス主義文学といふ一つのものに具体化されるとき、当然にとる結合関係である。それは内面的、必然的関係ではなくて、言はゞ力による、意志による、権威による結合関係である。従つてこの結合関係は安定的でも永続的でもなく、政治闘争の終結とゝもに武装を解くのである。マルクス主義文学といふのはブルジヨアとプロレタリアとの階級戦線に武装してたつ文学であつて、武装をといたあとまでもマルクス主義文学と呼びつゞける必要はない。
尤も結合関係は、力で[#「力で」に傍点]、権威で[#「権威で」に傍点]結合するのだが、一たん結合したあとは一つの作品としての調和をもつことは、ちやうど、水の中へインキを混ぜることそのことは、言はゞ力で[#「力で」に傍点]、権威で[#「権威で」に傍点]混ぜられるのであつても、混合された液体中には水とインキとははなれ/″\になつ
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