《しようとつ》しちや一日も一緒にゐられたものぢやない。」
近子は成程《なるほど》然《さ》うかとも思ツて、「ですけども、私等《わたしたち》は何んだツて此樣《こん》なに氣が合はないのでせう。」と心細いやうに染々《しみ/″\》といふ。
「お互にスツかり缺點《あら》をさらけ出して了《しま》ツたからよ。加之《おまけに》體力の不平均といふのも重《かさ》なる原因になツてゐる。自體女は生理上から謂《い》ツて娼妓《しやうぎ》になツてゐる力のあるものなんだ、お前は殊に然《さ》うだ!」
近子は眥《きれ》の長い眼を嶮《けは》しくして、「何《な》んでございますツて。」
「ふゝゝゝ。」と俊男《としを》は快《こゝろよ》げに笑出して、「腹が立ツたかね。」
「だツて其樣《そん》な侮辱《ぶじよく》をなさるんですもの。」
「侮辱ぢやない、こりや事實だ。尤《もつと》も女の眼から見たら男は馬鹿かも知れん。何樣《どん》な男でも、丁度俺のやうに、弱い體でもツて一生懸命に働いて、強壯な女を養《やしな》ツてゐるのだからな。」
「其の代《かは》り女にはお産といふ大難《だいなん》があるぢやありませんか。」
「そりや女の驕慢《けうまん》な根
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