の実証性は合理性を離れてない。科学的精神は合理的精神であると同時に実証的精神である。合理性と実証性とは対立するものである故に、科学的研究は一つの過程として運動するのである。新たに発見された事実を説明する法則を求めるために、或いは特殊的法則を包括する一般的法則を求めるために、研究が行われる。特殊的なものは科学を進歩させる力となっている。特殊的なものと一般的なものとの対立によって科学は発達する、或いは、非合理的なものを否定的媒介とすることによって科学はその合理性において発展するのである。かように科学が弁証法的構造をもっているということは、現実の世界が弁証法的なものであるということに相応している。合理的であることは演繹的であることであり、実証的であることは帰納的であることであると考えられ、科学は演繹的であると共に帰納的であり、帰納的であると共に演繹的である。演繹は一から多へであり、帰納は多から一へである。現実の世界は多にして一、一にして多であり、一即多、多即一という弁証法的なものであるところに、科学の弁証法的構造の根柢があるといわねばならぬ。
 ところで科学が行為の立場に立つことは、客観的な
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