ーなしには実験することができぬ。一定の思想をもって現象に問いかけ、現象をしてこの問に答えさせることが実験である。そして与えられる答について論理的に思考し、これによって現象を合理的に把握してゆく。その場合、答は必ずしも最初の思想と一致しないで、むしろこれを否定することもあろう。そのときはそれに応じて我々の思想を変え、新しい思想をもって更に現象に問いかける。かようにして我々と現象との間にいわば問答が行われる。問はあらかじめ論理的に考えられた思想をもって臨むことである故に、合理性の側を現わし、これに対して答はいつでもその思想を否定し得るものとして実証性の側を現わすとすれば、合理性と実証性とは対立し、その間に対話が行われる。そのとき合理性と実証性とは弁証法的関係にあるといわれるのである。弁証法という語はもと対話を意味するギリシア語の「ディアレゲスタイ」に由来している。対話においては互に他を否定し得る独立な者が対立し、問答を通じて一致した思想に達すると考えられるが、そのように弁証法は対立するものの一致を意味している。科学性は合理性と実証性との弁証法的統一である。その合理性は実証性を離れてなく、そ
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