}ての種類の飛躍は彼には自然的ならぬものと見えた。彼はあらゆる場合において、何等かの事物または過程が示すやうに感ぜられる間隙《かんげき》もしくは飛躍を充たし、それを結び付ける移り行きを探し出さうと努力することを特に喜んだ。
右の如き思想の根柢をなしてゐるのは明かに Organologie の思想である。我々はゲーテにおいて有機的発展の思想の模範的な場合に出会ふ。歴史及び社会は一の有機的自然と見られた。彼の社会哲学の最後の言葉は凡ての人間が有機的に仕事と活動とによつて結合するといふことであつた。社会と自然とは連続的に捉へられ、社会は一の高次の有機体と考へられる。次の言葉はこのことを甚だ明瞭に言ひ表はしてゐるであらう。「植物は節から節へと生長し、最後に花を開き実を結ぶ。動物界でも変りはない。幼虫、条虫と節から節へと進化し、最後に一つの頭が出来る。高等な動物及び人間においては脊椎骨《せきついこつ》が次第に結合して行つて、最後に頭が出来、そこに力が集中する。団体の場合に起ることも総じて個体の場合と変りがない。互に結び付く個体の系列なる蜂は、総体として、また最終をなす或るものを作り出す、即ち女
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