ネマ界の愚劣さに愛想をつかし、上京して、文學專心となる。
習癖――無帽、無マント、和服のみ。机によりては書けず、臥て書く習慣あり。夜半一二時頃より、朝八九時まで書き、讀み、午後二三時頃起床する日多し。
速筆にて、一時間五枚乃至十枚を書き得。最速レコード、十六枚(踊子行状記の最終二十四は、この速度にて書く)
酒は嗜まず。野菜物を好む。煙草は、マイミクスチユアか、スリーキヤツスルのマグナムに限る。但し、金がないとバツトにても結構。
飛行機好きにて、旅客中、最多回數を搭乘し、レコード保持者たり。
パノール號ロードスターを自家用自動車として所有す。中古千五百圓なりし品にて、菊池寛氏と共有の物なり。同氏と、文藝春秋社と、三者にて使用し、月經費を三分しつゝあり、圓タクよりあし。
趣味――圍碁二段に二三目。將棋八段に二枚落。麻雀無段。カツフエ、待合、旅行、競馬嫌ひなもの無し。
資産 自動車半臺分。刀劍少々。
[#地から7字上げ]直木三十五
底本:「直木三十五全集 第21巻」示人社
1991(平成3)年7月6日発行
底本の親本:「直木三十五全集 第21巻」改造社
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