っている覚悟で書かなければならない。「愛欲小説」は時代のショウウィンドウを飾る常に新らしき、それ故にこそ最も美しい流行着でなくではならないのである。
結論
考えて見れば、この少い頁数の中に充分に「大衆文芸作法」を盛ることは不可能なことであった。例証さえも充分に挙げる余裕がなかったことを残念に思う。私たちは小走りに此処まで来た。併し、大体に於て、見透しはついた訳だ。不満な点は、後の機会にゆだねて、私は一まず筆を措《お》かねばならない。
で、結論として、私は次のことを諸君に告げる。
第一に、現代人類は凡ゆる意味で、恐ろしく重大な転換期――変革期に立っている。だが、彼岸には、今、偉大な文化の時代が、創意が開けようとしているし、又開かねばならぬ時である。それらは、私たちの任務であるとともにより若き、青春に富める読者諸君の重い任務であるのだ。
第二に、かかる時に際して、文芸は亦、それらの一環として、新らしい大文学の時代をひかえて、陣痛に悩んでいる。大衆文芸は、この時、その文芸の任務の一つを負って生れ、そして成長しつつあるのだ。大衆文芸は、如何なる方向へ進まんとするか進むべきか、―
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