大阪よいとこ、色の都市
四、太閤の
  浪華の夢は、夢なれど、
   タキシーの渦と、人の波
    大大阪の横顔《プロフィル》に
     そっと、与えた、投げ接吻《キッス》
      大阪よいとこ、都市の都市
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  大阪を歩く


  大阪と私

 私の父は、今でも、大阪に住んでいる。南区内安堂寺町二丁目という所で、誰が、何う探したって判らない位の小さい所――四畳半と、二畳との穴の中で、土蜘蛛のように眼を光らしている。
 多分、六十年|乃至《ないし》、七十年位は住んでいるのであろう。私が、母親の臍《へそ》の穴から、何《ど》んな所へ生れるのだろうかしらと、覗いた時にも、その位の、小さな家に住んでいた。そして、今と同じように、苦い顔をしている(親爺の面というものは、大体、苦くって、いつでも、最近と同じ齢をしている。しばしば父の若い時の顔を想像するが、これ位困難なことは無い)。
 私が、東京へ来い、と、云っても母親だけを寄越して、何うしても動かない。あんな、蚤の家のような所でも、住み慣れるといいのかもしれない(尤も、私の生れた、も一つの
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