新訂雲母阪
直木三十五

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)確《たしか》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)村|外《はず》れ

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「言+墟のつくり」、第4水準2−88−74]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)うろ/\
−−

[#8字下げ]一[#「一」は中見出し]

「本当にそうか。」
 と、聞かれると、そうで無いとは云え無い。く、とは確《たしか》に聞いたのだから、これは断言できる。然し次の、る、はそう云ったような、云わないような、何《ど》うも明かで無いが、自分が唯一の証人で大勢の中で、美しい寡婦の悄然《しょうぜん》としている前で
「くる、と確に聞いた。」
 と、云った言葉を
「本当か。」
 と、念を押されると、今更、いや一寸《ちょっと》まってくれ、もう一度、耳に聞いてみるからとも云え無い。それに死人に口無し
「くる、と確に聞いた。」
 と、断言したって、それ
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