しばいげ》も持たず吾々が生き埋めされていたそれ等の割目の中で私に話をしました。しかし彼はまた魚の標のある十字架を所有したなら、高い地上の者でも必ず殺すであろうという事を話しました。彼は私が弾丸《たま》をこめた銃を持ってる事を知っているので、その迷路の中で私をあやめるほど愚者《おろかもの》ではなかったと彼はあっさりと私に話しました。しかし彼は確実な成功を持って私の殺害を計画するであろうという事をおだやかに話しました、その方法はいかなる危険も防ぎ得る、支那の老練な職工や印度の刺しゅう家が生涯の美術的な仕事にする所の技巧的な完全さを持つ方法でやるというのです。けれども彼は東洋人ではありませんでした。彼はたしかに白人でした。私は彼は私の国の人間ではなかったかという事を疑います。
「それ以来私は時折暗示や符合やそして奇妙な非人間的なたよりを受取りました。そのたよりはその男は狂人であるか彼は一事遍狂者であるかという事を少なくとも私にたしかめさせました。この幻想的なはなれた方法で、彼はいつも私に、私の死と埋葬に対する準備は満足に進行しているという事、そしてまた私が手柄な成功を持って彼等の迫害をさける
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