父の墓
田山花袋

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)停車場《ステーシヨン》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)半里|位《ぐらゐ》ある

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「火+曼」、第4水準2−80−1]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ところ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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 停車場《ステーシヨン》から町の入口まで半里|位《ぐらゐ》ある。堤防になつてゐる二|間《けん》幅《はゞ》の路《みち》には、櫨《はぜ》の大きな並木が涼しい蔭《かげ》をつくつて居《ゐ》て、車夫の饅頭笠《まんぢうがさ》が其間《そのあひだ》を縫つて走つて行く。小石が出て居《ゐ》るので、車がガタガタ鳴つた。
 堤防の下には、処々《ところ/\》に茅葺《かやぶき》屋根が見える。汚ない水たまりがあつて、其処《そこ》に白く塵埃《ほこり》に塗《まみ》れた茅《かや》や薄《すゝき》が生えて居《ゐ》る。日影のキラキラする夏の
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