よ。どうも肺という徴候はないようだが、ただの胃腸とも違うようなところがあると言ってました。なんにしても足に腫気《すいき》がきたのはよくないですな……医師の見立《みた》てが違っているのかもしれませんから、行田の原田につれて行って見せたらどうです? 先生は学士ですし、評判がいいほうですから」
 そして、そういうつもりがあるなら、自分が一日局を休んでつれて行ってやってもいいと言った。
「どうも、ご親切に……お礼の申し上げようもない」
 母親の声は涙に曇った。
 弥勒《みろく》に俸給を取りに行った翌日あたりから、脚部《きゃくぶ》大腿部《だいたいぶ》にかけておびただしく腫気が出た。足も今までの足とは思えぬほどに甲がふくれた。それに、陰嚢《いんのう》もその影響を受けて、起《た》ち居《い》にもだんだん不自由を感じて来る、医師は罨法剤《あんぽうざい》と睾丸帯《こうがんたい》とを与えた。
 蘇鉄《そてつ》の実を煎《せん》じて飲ませたり、ご祈祷を枕もとであげてもらったり、不動岡《ふどうおか》の不動様の御符《ごふ》をいただかせたり、いやしくも効験《こうけん》があると人の教えてくれたものは、どんなことでもして
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