の大きさになる。ところどころに茶摘《ちゃつ》みをする女の赤い襷《たすき》と白い手拭いとが見え、裸で茶を製している茶師《ちゃし》の唄が通りに聞こえた、志多見原《したみはら》にはいちやくそう、たかとうだいなどの花があった。やがて麦の根元《ねもと》は黄《き》ばみ、菖蒲《あやめ》の蕾《つぼみ》は出で、樫《かし》の花は散り、にわやなぎの花は咲いた。蚕《かいこ》はすでに三眠《さんみん》を過ぎた。
 続いてしらん、ぎしぎし、たちあおい、かわほね、のいばら、つきみそう、てっせん、かなめ、せきちくなどが咲き、裏の畑の桐の花は高く薫《かお》った。かや、あし、まこも、すげなどの葉も茂って、剖葦《よしきり》はしきりに鳴く。
 金州《きんしゅう》の戦い、大連湾《たいれんわん》の占領――第三軍の編制、旅順の背面《はいめん》攻撃。
「敵も旅順は頑強《がんきょう》にやるつもりらしいですな。どうも海軍だけではだめのようですな」などと校長が言った。旅順の陥落《かんらく》についての日が同僚の間に予想される。あるいは六月の中ごろといい、あるいは七月の初めといい、あるいは八月にはどんなにおくれても取れるだろうと言った。やがて鶏
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