。――みつまた、たびらこ、じごくのかまのふた、ほとけのざ、すずめのえんどう、からすのえんどう、のみのふすま、すみれ、たちつぼすみれ、さんしきすみれ、げんげ、たんぽぽ、いぬがらし、こけりんどう、はこべ、あかじくはこべ、かきどうし、さぎごげ、ふき、なずな、ながばぐさ、しゃくなげ、つばき、こごめざくら、もも、ひぼけ、ひなぎく、へびいちご、おにたびらこ、ははこ、きつねのぼたん、そらまめ。
四十七
新たにつくった学校の花壇にもいろいろの草花が集められた。農家の垣には梨の花と八重桜、畠には豌豆《えんどう》と蚕豆《そらまめ》、麦笛《むぎぶえ》を鳴らす音が時々聞こえて、燕《つばめ》が街道を斜めに突《つ》っ切《き》るように飛びちがった。蟻《あり》、蜂、油虫、夜は名の知れぬ虫がしきりにズイズイと鳴き、蛙の声はわくようにした。
あけび、ぐみ、さぎごけ、きんぽうげ、じゅうにひとえ、たけにぐさ、きじむしろ、なんてんはぎなどを野からとって来て花壇に移した。やがて山吹が散ると、芍薬《しゃくやく》、牡丹《ぼたん》、つつじなどが咲き始めた。
この春をかれはまったく花に熱中して暮らした。新緑をとお
前へ
次へ
全349ページ中290ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
田山 花袋 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング