の間《ま》の花瓶《かびん》にかれはめずらしく花を生《い》けた。早咲きの椿《つばき》はわずかに赤く花を見せたばかりで、厚いこい緑の葉は、黄いろい寒菊《かんぎく》の小さいのと趣《おもむき》に富んだ対照をなした。べつに蔓《つる》うめもどきの赤い実の鈴生《すずな》りになったのを※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]《さ》していると、母親は「私、この梅もどきッていう花大好きさ、この花を見るとお正月が来たような気がする」こう言って通った。父親は今朝猫の額のような畠の角《かど》で、霜解《しもど》けの土をザグザグ踏みながら、白い手を泥だらけにして、しきりに何かしていたが、やがてようやく芽を出し始めた福寿草《ふくじゅそう》を鉢に植えて床の間に飾った。朝日の影が薄く障子《しょうじ》にさした。親子は三人楽しそうに並んで雑煮《ぞうに》を祝った。
 清三の日記は次のごとく書かれた。
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明治三十七年
一月一日――新しき生命と革新とを与ふべく、新しく苦心と成功と喜びと悲しみとをくだすべく新年は来たれり。若き新年は向上の好機なり。願はくば清く楽しき生活をいとなま
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