のごろはよく風邪《かぜ》をひいた。散歩したとては、咳嗽《せき》が出たり、湯にはいったとては熱が出たりした。煙草を飲むと、どうも頭の工合《ぐあ》いが悪い。今までに覚えたことのない軽い一種の眩惑《めまい》を感じる。「君、どうかしたんじゃありませんか、医師《いしゃ》に見てもらうほうがいいですぜ」と関さんは二十四日の授業を終わって別れようとする時に言った。
荻生さんを羽生に訪問した時には、そう大して苦しくもなかった。けれど成願寺に行って久しぶりで和尚さんに会って話そうと思った希望は警察署の前まで来て中止すべく余儀なくされた。熱も少なくとも三十八度五分ぐらいはある。それに咳嗽《せき》が出る。ちょうどそこに行田に戻り車がうろうろしていたので、やすく賃銭《ちんせん》をねぎって乗った。寒い路《みち》を日の暮《く》れ暮《ぐ》れにようやく家に着いた。
年の暮れを一室《ひとま》に籠《こも》って寝て送った。母親は心配して、いろいろ慰めてくれた。幸《さいわ》いにして熱は除《と》れた。大晦日《おおみそか》にはちょうど昨日帰ったという加藤の家を音信《おとず》るることができた。郁治は清三のやせた顔と蒼白い皮膚《ひ
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