りに行く。かれやなんらの友情も知らぬもの、友を売りてわが利を得んとするものか。また例の「君の望むことにてわが力にてでき得《う》べき限りにおいて言へ」を言ふ。われ曰く「なし」と。この言《げん》はたして、かれの心よりの言葉か。
五日。
たま/\学友会の大会に招かれて行く。すなはち立ちて、「集会において時間の約を守るべきこと」につきて述《の》ぶ。かくのごとき会合において演壇に立ちしは初めてなれば心少しくためらひなきにあらざりしが、思ひしより冷静をもってをはりたり。余興として小燕林《こえんりん》の講談あり。
六日。
加藤と雪子と鈴木君の妹の君とかるた取る。
□夜、戸の外に西風寒く吹く。ああわれはこの力弱き腕を自己を、高きに進ますすら容易ならざるに、なほも一人の母と一人の父とのために走らざるべからざるか、さもあらばあれ、冷酷なる運命の道にすさむ嵐をしてそのままに荒しめよ。われに思ふ所あり、なんぞ妄《みだ》りに汝《なんじ》の渦中《かちゅう》に落ち入らんや。
松は男の立ち姿
意地にゃまけまい、ふけふけ嵐、
枝は折れよと根は折れぬ(正直正太夫《しょうじきしょうだゆう》)
□このごろの凩《こがらし
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