に快活にはなれなかった。旧友はみな清三の蒼い顔に沈んだ調子と消極的な言葉とをあやしみ見た。清三はまたいっそう快活になった友だちに対してなんだか肩身が狭《せま》いような気がした。
熊谷の町はにぎやかであった。ここでは注連《しめ》飾りが町家の軒《のき》ごとに立てられて、通りの角《かど》には年の暮れの市が立った。橙《だいだい》、注連《しめ》、昆布《こんぶ》、蝦《えび》などが行き通う人々の眼《め》にあざやかに見える。どの店でも弓張《ゆみは》り提灯《ちょうちん》をつけて、肴屋《さかなや》には鮭、ごまめ、数の子、唐物屋《とうぶつや》には毛糸、シャツ、ズボン下などが山のように並べられてある。夜は人がぞろぞろと通りをひやかして通った。
大晦日《おおみそか》の朝、清三はさびしい心を抱いて、西風に吹かれながら、例の長い街道をてくてくと行田に帰った。いまさらに感ぜられるのは、境遇につれて変わり行く人々の感情であった。昨年の今ごろ、こうしたことがあろうとは夢にも思っておらなかった。親しい友だちの間柄がこういうふうに離れ離れになろうとは知らなかった。人は境遇の動物であるという言葉をかれはこのごろある本で読ん
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