はしばし黙《だま》って歩いた。
「いったいどうしたんだ?」
しばらくして清三がきいた。
「何が?」
「しらばっくれてるねえ、君は? 僕はちゃんと聞いて知ってるよ」
「何を?」
「大いに発展したッていうじゃないか」
「誰が話した?」
「ちゃんと知ってるさ!」
「誰も知ってるものはないはずだがな」と言って考えて、「ほんとうに誰が話した?」
「ちゃんと材料は上がってるさ」
「誰だろうな!」
「あててみたまえ」
少し考えて、
「わからん」
「小畑が君、君のシスタアに何か言ったことがあるかえ? 僕のことで」
「ああ、妹《いもうと》がしゃべッたんだな、彼奴《あいつ》、ばかな奴だな!」
「まア、そんなことはいいから、僕のいうことを返事しまたえ」
「何を」
「小畑が君のシスタアに何か言ったかッていうことだよ」
「知らんよ」
「知らんことはないよ、僕が君と Art の関係について、中にはいってるとかどうしたとか言ったことがあるそうだね」
「うむ、そういえばある」と郁治は思い出したというふうで、「君が北川によく行くのはどうかしたんじゃないかなんて言ったことがある」
「君のシスタアについても何か先生言い
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