い土手、その中でここ十町ばかりの間は、松原があって景色が眼覚めるばかり美しかった。ひょろ松もあれば小松もある。松の下は海辺にでも見るようなきれいな砂で、ところどころ小高い丘と丘との間には、青い草を下草《したぐさ》にした絵のような松の影があった。夏はそこに色のこいなでしこが咲いた。白い帆がそのすぐ前を通って行った。
清三はここへ来ると、いつも生徒を相手にして遊んだ。鬼事《おにごと》の群れに交って、女の生徒につかまえられて、前掛けで眼かくしをさせられることもある。また生徒を集めていっしょになって唱歌をうたうことなどもあった。こうしている間はかれには不平も不安もなかった。自己の不運を嘆くという心も起こらなかった。無邪気な子供と同じ心になって遊ぶのがつねである。しかし今日はどうしてかそうした快活な心になれなかった。無邪気に遊び回る子供を見ても心が沈んだ。こうして幼い生徒にはかなき慰藉《いしゃ》を求めている自分が情けない。かれは松の陰に腰をかけてようようとして流れ去る大河《たいか》に眺めいった。
一日《あるひ》、学校の帰りを一人さびしく歩いた。空は晴れて、夕暮れの空気の影《かげ》濃《こまや》
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