田舎教師
田山花袋

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)青縞《あおじま》の

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)高等|尋常《じんじょう》小学校

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)蠑※[#「虫+原」、第3水準1−91−60]《いもり》が

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)たま/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

       一

 四里の道は長かった。その間に青縞《あおじま》の市《いち》のたつ羽生《はにゅう》の町があった。田圃《たんぼ》にはげんげが咲き、豪家《ごうか》の垣からは八重桜が散りこぼれた。赤い蹴出《けだ》しを出した田舎《いなか》の姐《ねえ》さんがおりおり通った。
 羽生からは車に乗った。母親が徹夜《てつや》して縫ってくれた木綿《もめん》の三紋《みつもん》の羽織に新調のメリンスの兵児帯《へこおび》、車夫は色のあせた毛布《けっとう》を袴《はかま》の上にかけて、梶棒《かじぼう》を上
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