そこで車を下りて休むことにした。
かをるの方が窕子よりは年が二つ下なのだけれども、窕子はそれを『姉者、姉者』と呼んでゐた。
『姉者は肥えてゐるで、何うしても他よりも暑いぢやらうな?』
こんなことを窕子が言ふと、
『暑いにも、暑いにも……』かう輕くおどけた風にかをるは言つて、その細い筧からちよろちよろと落ちる清水を茶椀に受けて、それを道綱にも飮ませ自分にも飮んだ。
『つめたい?』
窕子は此方から訊いた。
『口もきるゝやう――』
窕子も立つてその筧の落ちる傍に行つた。
急いであとからついて行つた呉葉が茶椀に滿たした水を窕子に出した。
『おゝこれはつめたい!』
皆ながかはるがはる口に當てて飮んだ。暑い原を通つて來た苦しさがそれでよほど除れたやうにお互にのんびりした氣特になつた。それにそこは已にいくらか高くなつてゐた。京の町がそれと手に取るやうに見えた。
『これでやつと凉しうなつた!』母親もいつもと違つて、父親の歸京の消息を得た喜びがあるので、いかにも心が伸々としたやうに言つた。
晝飯にはまだ少し早いけれども、これから先きには水のあるところはあつても休む設備の出來てゐるところはな
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