横につけられた上にザンザン降り頻る雨の佗しく暮れて行くのを見るばかりになつた。
 窕子は何とも言はれないさびしい悲しい心持で、身動きもせずに暫しそこに立つてゐたが、いつまでもさうしてゐられないので、そのまゝ階段の方へと歩いて來た。
『まア、何て悲しいことだらうね』
 そこに行くと、窕子はわれを忘れたやうにべたりとその階段のところに腰を下して了つた。窕子は兩手をこめかみのところに當てゝじつと深く考へ込んだ。暫く經つた。
『でも、此方を御覽になつたね……』
『えゝ……』
 呉葉はかう言つて、『隨分長いこと、此方を見ていらつしやいました……』
『せめてものなぐさめだね……』暫らくだまつて、『この人の世には、かういふ悲しいこともあるのだね!』
『本當でございますね』
 話聲をきゝつけてそこに常葉が下りて來た。
『まア、何方かと存じたら、窕子さまでございましたか……』
『常葉どの……』
 またたまらなく悲しくなつたといふやうにして窕子は顏に手を當てた。
 呉葉は常葉に訊いた。
『今日、勅使が來るといふことがわかつて居りましたの?』
『いゝえ』
『では、だしぬけに……?』
『え、え、だしぬけでござ
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