いから……何うせ、なるやうにしかならないのだから……』
『さうですとも………』
『どうせ、女子はかうなるものだから……』
窕子は言ひたいことが山ほどあるけれども、言へばすぐ涙が出て來さうになるので――つとめてそれを抑へて別れをつげて來ることにした。
何うにもならないものに對する悲哀――何と言つてもそれは悲しいものであらねばならなかつた。死でなければ別離――そのわかれのつらさがひしと窕子の體に逼つて來た。
登子も多くを言はなかつた。窕子が立つて來ると、かの女もその妻戸の外まで送つて出て來た。雨は荒れ果てた池の上に殼紋をつくつて降り頻つてゐた。
『それでは……』
窕子は暇を告げた。
『健かで……』
『おん身も……』
いつまで惜しんでもとても惜しみきれない別れだ! と思つて、窕子は心を強くして向うに行つた。しかも何うしても振返らずにはゐられなくなつて、もう一度振返つた時には、白い顏を大理石像か何ぞのやうにやゝ薄暗い空氣の中に見せて、登子がじつとして此方を見送つて立つてゐるのを眼にした。
二六
呉葉が慌たゞしく入つて來た。それに由ると、内裏からの迎へが今來たらし
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