經て來たことをくり返した。『何うしてかう女子といふものは虐げられてゐなければならないのだらう。女子は生れた時からさういふ風に運命づけられてゐるのか?』その話はいつもそこへと落ちて行くのだつた。
 あれ果てた池には蛙が頻りに聲を立てゝ鳴いた。それはよく雨に伴つてきかれた。蓮や麥の葉に水がたまつて、それが珠でも轉ばしてゐるやうに見えることもあつた。ある夜は頻りに時鳥が闇を破つて鳴いて行つた。大比叡でも雨の晴れる護摩を此頃毎日あげてゐるといふ。『山でも少し見えて呉れると氣が晴れるのですけれどもね』廊下のところで常葉がこんなことを鼻の大きい下衆に言つてゐるのも窕子だちには佗しかつた。それでも何うかすると、薄ぼんやりと夜中に月が出て、草に亂れた廢宅がさびしく微かに照されてゐたりなどした。

         二四

 登子と窕子との間にはをりをりこんな話が交換されるのだつた。
『何うしてかう女子は虐げられなければならないのでせう?』
『これと申すのも、女子が内にのみかくれて居るからではないでせうか。もつと世の中に出て行かなければならないのではござりますまいか。……それは慣習と申せば、それまででご
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